2018 年 67 巻 2 号 p. 170-177
肺炎球菌の莢膜型を判定する検査法として簡便なスライド凝集法とワクチン型別判定まで可能なMultiplex PCR法がある。今回2008年12月から2016年9月の間に愛知医科大学病院の侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease; IPD)患者から分離された肺炎球菌59株を対象にスライド凝集法とMultiplex PCR法を用いた検討を行った。スライド凝集法を用いて莢膜型を決定した後,Multiplex PCR法を用いて型別することにより,Multiplex PCR法の労力の削減および手技の簡易化が可能であった。抗原因子6dが含有されていないスライド凝集法で非凝集であった場合にMultiplex PCR法で6A/6B/6C/6D型にバンドが認められた場合は,6C型と推定することが可能であった。Multiplex PCR法で分類不能な非ワクチン型である6C型をスライド凝集法とMultiplex PCR法を併用することで推定することが可能であり,今後のワクチン効果の評価や莢膜型の疫学集積に有用である可能性が示唆された。