持続携帯式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis; CAPD)排液中の細胞分画検査は,腹膜透析患者における腹膜炎の早期診断の指標として重要である。XE-5000は血算以外の体腔液測定も可能な体液モードを搭載している。今回我々は,CAPD排液の細胞分画検査におけるXE-5000の有用性について検討した。2016年8月~2016年12月の間に,日勤時間帯に当検査室に提出されたCAPD排液検体87例に対し,単核球,多核球,中皮細胞についてXE-5000と目視法の結果を比較した。多核球(y = 0.8381x + 14.69, R2 = 0.5386)と単核球(y = 0.8672x + 1.26, R2 = 0.6169)には有意な相関が認められ(p < 0.05),XE5000による全測定細胞数が多いほど相関性は強くなる傾向が認められた。一方で,中皮細胞(y = 0.0549x + 3.52, R2 = 0.2978)の検出には相関は認められなかった(p = 0.2978)。全測定細胞数が少ない場合には,XE-5000と目視法で多核球の比率に乖離のみられる症例も少数認められた。今回の結果から,XE-5000と目視法の相関はほぼ良好な結果が得られた。必要に応じて目視法を併用する等の運用条件を設定することは重要であるが,スクリーニング検査としてXE-5000によるCAPD排液中の細胞分画検査を行うことにより,検査の省力化および迅速な結果報告に繋がると思われる。