医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
技術論文
偏性嫌気性菌Bacteroides spp.とClostridium spp.における全自動迅速感受性検査法RAISUS ANYの有用性
濱野 京子長尾 美紀松村 康史山本 正樹柚木 知之樋口 武史一山 智
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 68 巻 1 号 p. 40-48

詳細
抄録

近年,嫌気性菌の薬剤耐性化が問題となってきており,ルーチン検査における感受性試験の重要性が増している。そこで,目視判定を行う栄研ドライプレート(従来法)と全自動迅速同定感受性測定システムRAISUS ANY(ライサス法)を用いてBacteroides spp. 68株,Clostridium spp. 43株の計111株の薬剤感受性検査を行い,検査法や菌種による差が認められるかを確認した。その結果,従来法とライサス法に共通の9薬剤での±1管差内一致率はBacteroides spp.: 87%~100%,Clostridium spp.: 63%~100%,CLSIカテゴリー一致率はBacteroides spp.: 78%~100%,Clostridium spp.: 51%~100%であった。Bacteroides spp.におけるCTXおよびMFLX,Clostridium spp.におけるCLDMにおいて判定誤差があった。これは従来法において耐性菌のMIC値判定によるヒューマンエラーが関与しているものと考えられた。一方で,ライサス法は,客観性に富む検査法であり,機器による判定により個人差がなくなることから,ルーチン検査において有用であると考えられた。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top