2019 年 68 巻 1 号 p. 110-116
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae; CPE)スクリーニング寒天培地であるクロモアガーmSuper CARBA生培地(関東化学)を用いて発育支持能の検討を行った。当施設保存株のうちPCR法により耐性機序が判明している腸内細菌科細菌各種薬剤耐性50株を対象とした。カルバペネマーゼ産生遺伝子の内訳は,IMP型16株,GES型2株,NDM型3株,KPC型2株,SMB型1株,VIM型2株,OXA型2株と,その他耐性菌としてAmpC産生8株,ESBL単独産生9株,その他5株を使用した。発育支持能試験は,Miles & Misra法に準拠して行い,35℃で24時間培養後に発育したコロニー数を確認した。CPE検出感度は100%,特異度86.4%と良好であり,CPE28株中25株が1.0 × 102 CFU/mLまで発育を認めた。一方,IMP型3株においては1.0 × 105 CFU/mLで発育を認めず,いずれもカルバペネム系抗菌薬のMIC値が低値であった。感度,特異度ともに良好であり,CPEスクリーニング検査の一つとして有用であることが示唆された。一方で,発育はカルバペネム系抗菌薬のMIC値と相関するため,培地の特性を把握したうえで,適切に使用することが重要であると考えられた。