2019 年 68 巻 2 号 p. 383-387
肺癌の骨転移は比較的認められる所見であるが,膝蓋骨への転移は非常に稀である。今回,我々は肺扁平上皮癌を左膝蓋骨滑膜嚢胞液中に認めた症例を経験したので報告する。患者は79歳男性で,肺癌と診断されている。膝に痛みがあることから,感染性関節炎を疑われ,様々な検査が施行された。迅速ギムザ染色(ヘマカラー染色;Hemacolor:H染色)を施行し,扁平上皮癌を検出した。その後,画像診断によって肺癌の左膝蓋骨転移と診断された。肺癌患者において膝に痛みを認める場合には,悪性細胞の存在を念頭において検査にあたることが重要である。