医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
症例報告
免疫チェックポイント阻害剤投与後に褐色尿を認めた一症例
山口 高明星 雅人長嶌 和子櫻井 昌代水野 元貴仲本 賢太郎藤田 孝石川 隆志
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 68 巻 2 号 p. 388-394

詳細
抄録

肉眼的に褐色尿を呈した患者検体を,メラニン尿と同定した症例を報告する。通常,褐色尿の場合には血尿,ビリルビン尿,ウロビリン尿を疑うが,本症例では,尿潜血反応(±)であること,イクトテストの結果が陰性であることから上記の可能性は否定された。臨床診断よりメラニン尿の可能性を考え,Thormählen反応を実施したところ陽性であり,さらに,高速液体クロマトグラフィーによりメラニンマーカー(5-S-CD, PTCA, PDCA, 4-AHP)が検出され,褐色尿の原因はメラニンであると確定した。褐色尿は免疫チェックポイント阻害剤投与後数日間継続し,その後に淡黄色になった。悪性黒色腫患者の褐色尿は常に認められるわけではなく,病態の進行および治療に伴って出現する所見であると考えられた。すなわち,褐色尿の程度やThormählen反応の実施は,すでに悪性黒色腫の診断がついていても,病態の進行や治療効果の判定に有用である可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top