2020 年 69 巻 3 号 p. 488-495
技術革新に伴う医療技術の進歩は,グローバル化がますます加速している。街中や病院内において,外国人とのコミュニケーションが必要となる機会は日常的に増えている。その結果,臨床検査技師を取り巻く環境は大きく変化してきている。臨床検査技師の国際化を進める上で大切なことは,語学力と併せて,国際感覚を醸成することが重要である。すなわち,臨床検査技師としての専門的な知識及び技術を有することを前提とした上で,宗教・文化・習慣・教育・感性が国によって異なる中で共存できる能力を有する人材の育成が必要となってきている。このような背景の中で,国際化に対応するためには何が必要かを考えられる若手技師の育成を目的とし,若手技師国際化対応力向上ワーキンググループ(若手WG)が2018年に発足した。若手WGの初めての挑戦は,2019年5月に開催された第68回日本医学検査学会での国際フォーラムを開催することであった。このフォーラムでは,日本,韓国,台湾の若手臨床検査技師が将来の臨床検査技師像について,今後医療分野に普及する人工知能に焦点を当て,精度管理,ゲノム医療,そして遠隔医療を議論テーマとした。そこで今回我々は,若手WGの立ち上げからその取り組みとしてのThe 1st International Young BLS Forumと精度管理,ゲノム医療,遠隔医療についての議論成果について報告する。