医学検査
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技術論文
多血小板血漿作製後の時間経過における全自動血液凝固測定装置CSシリーズでの血小板凝集能の変化
丸尾 理恵金子 誠坂寄 輔渡邊 ゆり佐藤 金夫佐藤 智明尾崎 由基男矢冨 裕
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2020 年 69 巻 4 号 p. 631-639

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抄録

【背景・目的】血小板凝集能検査(透過光法)は,自動測定器で数多くの検査を実施可能となった。しかし多検体処理では,機器内での検査待ち時間延長により検体の多血小板血漿(PRP)は長時間静置状態となる。細胞である血小板は沈降し検査前の撹拌がないと血小板分布が不均一な検体となること,また採血後の時間経過による血小板反応性の変化も懸念される。この静置の血小板凝集への影響を検討した。【方法】健常人から作製したPRPにADP(0.5, 2 μM)とコラーゲン(0.5, 2 μg/mL)を用いて1)PRP作製後に静置状態0,30,90,150,210分後,測定直前に撹拌あり・なしの血小板凝集反応の変動,2)PRP作製後180分の静置検体の上・下層および撹拌後の血小板数を比較した。【結果・結語】血小板凝集反応は,凝集刺激の強い場合に150分の静置検体まで安定したが,ADP低濃度刺激では30~90分後がピークで以後は減弱した。長時間静置検体で測定前に撹拌すると反応が減弱した。一方,静置検体の血小板数は検体の上下部で10%程度の差は生じたが凝集反応に影響はなかった。したがって,血小板反応の有無を確認する強刺激を負荷する検査は,検査前には撹拌は不要で,静置の影響はないことが示唆された。一方で,弱刺激による血小板活性化反応を判定するには,採血後から検査までの時間が重要で,検査のタイミングに注意する必要がある。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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