医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
原著
プロカルシトニン測定試薬の性能評価と臨床的有用性の評価
竹渕 真由宇佐美 陽子荻野 結加遠藤 里紗松本 剛石嶺 南生菅野 光俊本田 孝行
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 70 巻 1 号 p. 66-73

詳細
抄録

【背景】プロカルシトニン(PCT)は敗血症マーカーとして利用されており,ブラームス社の抗体を使用した測定試薬が発売されている。新たに富士フイルム和光純薬株式会社から独自の抗PCT抗体を用いた定量試薬「ミュータスワコー PCT」(μTAS)と「アキュラシードPCT」(Accuraseed),イムノクロマト法を原理とする半定量試薬「スムーズチェックワコーPCT」(Smooth Check)が発売されたので,性能評価と臨床的有用性の検証を行った。【方法】μTASとAccuraseedは,基礎的な性能と既存試薬との相関性について,Smooth Checkは技師間での判定一致率と定量試薬との一致率を検討した。臨床的有用性は,高度救命救急センターに入院した294症例を対象に,PCT値と感染症の有無,血液培養およびqSOFAとの関係性から評価した。【結果】3試薬の性能と既存試薬との相関性は良好だった。臨床的有用性の検討では,感染症症例でPCT値は陰性から高値陽性まで幅広く分布し,血液培養陽性やqSOFA 2点以上の症例でより高値になる傾向が認められた。感染症がない症例では,82%でPCT値が陰性となったが,一部の外科手術後,重症外傷症例で高値陽性となった。【まとめ】新たに発売された3試薬の性能は良好だった。PCTは感染症の重症度に伴って高値になる傾向があり,敗血症診断の補助的マーカーとして有用である。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top