2021 年 70 巻 2 号 p. 243-251
我々はGOD固定化酵素膜電極法を原理とした,血漿/全血測定に対応した2機種のグルコース分析装置の性能比較を実施した。正確性確認では両装置とも良好な正確性を示し,併行精度・室内再現精度においても良好な精密性が確認された。相関性については,血漿/全血どちらで測定した場合も現行装置や他測定法に対して相関性が確認された。全血測定では高ヘマトクリット検体ほどグルコース値の変動を認め,ヘマトクリットが全血測定に大きく影響することが確認された。しかし,日常検査を遠心操作が不要である全血測定へ変更することは,検査業務の効率化やTAT短縮など臨床貢献へ繋げられる可能性があると思われる。グルコース検査に用いられる検体は動脈血,静脈血,血漿,血清,全血など様々であり,測定法も複数存在するが,それぞれの特徴を理解し使い分けることで,検査精度の担保が可能になると考えられる。