医学検査
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症例報告
術中脊髄モニタリングでFree run EMG波形異常の経時的な変化を観察することができた1例
杉原 辰哉門永 陽子内藤 凌矢室 孝徳安井 宏治楠城 誉朗
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2021 年 70 巻 2 号 p. 344-348

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抄録

【はじめに】頸椎症の合併症であるC5麻痺発生を防ぐために術中脊髄モニタリングが有用であるとされているが未だ議論されている。今回椎間孔拡大時にFree run EMG波形異常が出現し,改善していく様子を観察し得た1例を経験したので報告する。【症例】59歳男性。主訴は右上肢の痺れと挙上困難。画像検査で椎間孔狭窄と輝度変化を認め,椎間孔拡大術と椎弓形成術が施行され,術中脊髄モニタリングを実施した。【術中モニタリング所見】右椎間孔拡大時に三角筋,上腕二頭筋,上腕三頭筋で神経根障害を示唆するFree run EMG波形異常を認め,減圧の進行に伴い改善を認めた。その間Tc-MEPとSEP波形異常はみられず,術後麻痺はなかった。【結語】Free run EMG波形異常は神経根障害を捉えるのに有用とされているが,加えて神経直接刺激を用いて鑑別の精度を上げていくことが大切であると考えられる。またFree run EMG波形異常を観察する際は出現の有無だけでなく,時系列変化において振幅や周波数,波形異常の持続時間に注目していくことが重要である。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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