医学検査
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技術論文
画像解析装置を用いた乳癌HER2-FISH検査の自動カウントの有用性
岩田 英紘恒川 佳未結梅村 彩新田 憲司水嶋 祥栄長田 裕之瀬古 周子
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2021 年 70 巻 3 号 p. 489-496

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抄録

〈目的〉目視法による乳癌HER2-FISH検査は,癌細胞20個以上のHER2およびCEP17シグナルを計測し,平均HER2 copy数およびHER2/CEP17比を算出して判定を行う。しかし目視法では観察者によって判定結果に差が出る可能性がある。今回,同一検体に対して複数の観察者が目視法と自動カウント法を行い,自動カウント法の有用性を検討した。〈方法〉免疫染色でHER2タンパク2+を示した乳癌8例を対象とした。自動カウント法では画像解析装置Metaferシステムを用いた。観察者は4名で,目視法,自動カウント法の順でシグナルカウントを行い,結果を比較した。〈結果・考察〉自動カウント法では1症例平均212個の癌細胞を測定した。目視法では,8例中4例で判定に不一致が認められた。これらの4例は,平均HER2 copy数の値に顕著な観察者間のバラツキを認めた。目視法で判定不一致となった4例中3例は,自動カウント法ではNegative判定で一致した。〈結語〉目視法に比して,自動カウント法はHER2-FISH検査の高い一致性を示した。自動カウント法は多数の細胞を測定可能で,客観性および再現性の高い結果が期待できる。自動カウント法は精度管理の手段としても有用であり,HER2-FISH検査の精度向上に貢献できると思われる。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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