医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
技術論文
全自動輸血検査装置Erytra Eflexisを用いた不規則抗体スクリーニング
加藤 千秋渡邉 樹里松岡 弘樹遠藤 比呂子渡邊 友美松下 正
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 71 巻 1 号 p. 87-94

詳細
抄録

全自動輸血検査装置は,分注ミスの防止,凝集判定の個人差が解消でき検査業務の省力化にも有効である。今回,全自動輸血検査装置Erytra Eflexisを使用したゲルカラム凝集法(Gel-CAT)を用いた不規則抗体スクリーニングの基礎的検討を行った。日常的な遭遇レベルの乳び,溶血,高ビリルビンの影響を受けず,高グロブリンに対しても,間接抗グロブリン試験(LISS-IAT)ではIgG 7,371 mg/dLで,酵素法であるPapainでは連銭形成を生じる検体でのみ影響を受けた。ガラスビーズカラム凝集法(Glass-CAT)を原理とする現行機器との比較では,LISS-IATでKidd,Duffy,Diego抗体がGel-CATに強い反応強度を示し,抗eと抗Diaの各1件はGel-CATでのみ検出した。酵素法ではRh系抗体,Kidd,Lewis抗体でGel-CATが強い反応強度を示し,3件のRh系抗体と2件のKidd抗体は,Gel-CATでのみ検出した。抗体産生早期検体では,抗EでGel-CATのPapainがより早く検出した。抗Jkb,抗Dia,抗Leaでは,PEG-IATと同等時期に検出した。Gel-CATは特にRh系抗体の検出に優れ,抗Dの検出感度はLISS-IATで0.02 IU/mL,Papainでは0.01 IU/mLであった。以上より日常検査に有用であると判断した。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top