2022 年 71 巻 4 号 p. 719-724
国内におけるアルカリ性ホスファターゼ(ALP)の活性測定は,2020年4月より,2-エチルアミノエタノール(EAE)緩衝液を用いたJapan Society Clinical Chemistry(JSCC法)から,国際臨床化学連合(IFCC)の基準測定操作法であり,血液型や食事の影響を受けにくいとされる2-アミノ-2-メチルプロパノール(AMP)緩衝液を用いたInternational Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine(IFCC法)へ準備の整った施設から変更開始することとなった。当院もIFCC法への切り替え準備をしていたところ,日臨技近畿支部臨床化学のALP活性に関する実技研修会の開催を知り参加した。その目的は,JSCC法,IFCC法の試薬成分を知り自家調製できる,用手法で活性測定と活性値の計算ができる,ABO式血液型によって活性値が異なることを理解できる,であった。実技研修会でJSCC法およびIFCC法の試薬を自家調製後,食前後に採血したA型,B型,O型,AB型の検体にて,用手法で活性測定および活性値を求めた。その結果,JSCC法およびIFCC法の活性値においてA型が最も低値で,B型が最も食前に比べ食後の上昇率が大きかった。また,JSCC法/IFCC法の活性値比は概ね3.0であった。これらの結果は過去の報告と同様であった。実技研修会の約1年後の2021年4月にALP試薬をIFCC法に切り替えたが,実技研修会で得た知識・技術が役立ち,自信をもってALP活性測定ができ,診療側からの問合せにも対応できた。臨床化学検査を担当者として,試薬成分や特徴を知り,用手法で活性測定や計算ができることは必須と考える。