医学検査
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第4部
肝・胆道
金山 和樹今野 和治米田 操
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2022 年 71 巻 J-STAGE-1 号 p. 49-59

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抄録

肝臓は横隔膜の下に位置し,胃を覆うように存在していて4つ肝葉に分かれ,横隔膜と腹壁からの肝鎌状間膜で支えられている。消化器系で最も大きな臓器であり,成人男性では1から1.3 kg,成人女性で1 kg前後である。肝臓の構造は実質である肝小葉と支持組織である門脈域(グリソン鞘)と中心静脈で構成され,肝小葉の中央に中心静脈がある。肝小葉は肝細胞と内皮細胞,クッパー細胞,星細胞,ピット細胞の類洞細胞とからなり,門脈領域には樹状細胞が見られる。肝臓の機能はたくさんあるが,糖,脂質,蛋白質の代謝,胆汁の生成・分泌,解毒作用,薬物の代謝,ビタミン・鉄の貯留などがある。肝細胞では1日約600 mLの胆汁が生成され,胆道である肝内胆管,肝外胆管,胆嚢,総肝管を経由して十二指腸乳頭部に分泌されるが,十二指腸乳頭部のOddi筋により胆汁は一時胆嚢に貯えられる。食物が十二指腸を刺激するとコレシストキニンによって胆嚢が収縮し,Oddi筋が弛緩することで胆汁が十二指腸に排出される。肝臓はウイルスに感染することで変化をきたし腫瘍が発生することが分かっている。腫瘍の他,いろいろな疾患が発生するのでその基本構造や機能を理解することが必要である。

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© 2022 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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