日本野生動物医学会誌
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特集論文
絶滅危惧種の寄生虫-イシガイ類のグロキディウムの宿主解明
伊藤 寿茂
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2019 年 24 巻 3 号 p. 97-103

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抄録

 研究は博物館の社会的機能の一つである。研究の着地点は,調査や実験で得られたデータを解析し,論文として公表して長期間にわたる利用を可能にすることであり,途中で止めてしまった場合,従事者の個人的な鍛錬としか見なされない。動物園や水族館を含む博物館相当施設では比較的基礎研究を行いやすい状況にあるが,学芸員は多岐にわたる業務を抱えており,研究を行うための時間や労力を意識的に捻出する必要がある。著者の場合,イシガイ類幼生の生態解明をテーマに選び,いくつかの工夫を凝らすことによって,幾ばくかの研究を行うことができたので,その内容の一部を紹介する。博物館に限らず,所属機関の研究機能は,個々の職員が一学芸員として研究を重ねた結果として高まっていくものと考えている。人生の楽しみの一つとして研究を行うことを推奨したい。

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© 2019 日本野生動物医学会
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