2023 年 72 巻 2 号 p. 223-229
今回我々は,C. DIFF QUIK CHEKコンプリート(アボットダイアグノスティクスメディカル,A法)とクイックチェイサーCD GDH/TOX(ミズホメディー,M法)を用い,検出性能評価比較を行った。基礎的検討として,Clostridioides difficileコロニーを用いた希釈菌液によるglutamate dehydrogenase(GDH)検出感度の比較検討を実施した。臨床検体における検討として,C. difficile感染症疑いで提出された125検体を両試薬で同時測定を行った。併せて培養法によるC. difficile発育の有無,toxigenic culture法(TC法)によるtoxin産生性の有無を確認した。基礎的検討の結果,GDH検出感度はA法の方が10倍程度良好な結果となった。培養法(陽性24件)を対照としたGDHの感度・特異度は,A法:79.2%/100%,M法:87.5%/100%であり,2件の結果乖離があった。TC法(陽性18件)を対照としたtoxinの感度・特異度は,両法ともに35.3%/100%であり,いずれも低感度であった。臨床検体でGDH結果が乖離した2件は,検体のサンプリング操作法の違いが結果に影響を与えた可能性が高く,糞便の複数個所をサンプリングするよう注意して検査することが重要である。A法,M法は,ほぼ同等の性能であり,先行データの乏しいM法においても,CDI診断における第1スクリーニング試薬として有用であると結論付けた。