医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
原著
次世代シーケンサを用いた全ゲノム解析とハプロタイプネットワーク解析からみるSARS-CoV-2感染伝播経路の解析
梶原 亮佑宮本 直樹田代 尚崇大坪 直広一ノ瀨 佑果堀田 吏乃川野 祐幸内藤 嘉紀
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2023 年 72 巻 3 号 p. 331-338

詳細
抄録

目的:SARS-CoV-2は高い感染力を持つため病院内でのクラスター感染が問題となる。しかしながら,病院内への感染伝播経路に関する次世代シーケンサ(以下,NGS)を用いた研究は少ない。本研究では,院内クラスターを引き起こしたウイルスの感染経路解析を行うため,NGSによる全ゲノム解析を実施した。方法:久留米大学病院にてSARS-CoV-2 PCR陽性となった,院内クラスター感染検体(クラスター群)12検体と,その他の市中感染検体(市中群)37検体を対象として,NGSによる全ゲノム解析を実施した。得られたゲノム配列データより,ハプロタイプネットワーク解析を行い,クラスター群と市中群の感染経路解析を行った。また,GISAIDで東京・大阪のゲノムデータを取得し,都市間の感染経路解析も行った。成績:Pango系統分類では,クラスター群は12検体全てがBA.2.24であったが,市中群では複数の系統のオミクロン株が混在していた。ハプロタイプネットワーク解析では,院内感染は単一侵入経路からの感染拡大が推測された。また,クラスター群と市中群は,大阪に比べ,東京との関連性が強い傾向があり,およそ2~3週間で東京から伝播したことが示唆された。結論:NGSによる全ゲノム解析およびハプロタイプネットワーク解析は,ウイルスの感染経路の解析が可能であり,今後の感染制御に有用な情報を提供できると考えられる。

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top