2023 年 72 巻 3 号 p. 395-406
横浜市では,新たに統合型GISよこはまっぷ(PasCAL for LGWAN)を2022年3月から公開している。従来からインフルエンザ感染症によるGISの利用を図ってきたが,今回の更新による機能等の追加で,若干の知見が得られたので報告する。本研究の目的は,インフルエンザ感染症の流行の可視化を新規性のあるGISとして実現することである。方法としては,従来の登録システムを改修して,データや運用の変更を図り新たなGISを構築した。インフルエンザ感染症は,感染症発生動向調査(NESID)を利用して,施設別発生状況や定点当たりの患者報告数が報告されている。成果としては,施設別発生状況において,詳細な学校等の流行状況と中学校学区域によるポリゴン表示を利用した情報を,一元的にGIS上へ可視化することが可能となった。また,中学校学区域や定点当たりの患者報告数では,時系列データの参照も可能である。本研究により,新たなGIS構築の結果として,中学校学区域,定点当たりの患者報告数のポリゴン表示と地域包括支援センターの情報を可視化させることで,地域におけるインフルエンザ感染症の予防啓発に繋げられると考える。