医学検査
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原著
胸水細胞診における低真空走査電子顕微鏡観察による小細胞癌とリンパ腫の形態学的特徴
矢野 哲也内山 雅之望月 玲音中嶋 裕副島 友莉恵
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2025 年 74 巻 1 号 p. 66-72

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抄録

目的:体腔液細胞診における小細胞癌とリンパ腫において,低真空走査電子顕微鏡(low-vacuum scanning electron microscopy; LVSEM)による観察を行い,超微形態学的特徴を明らかにする。方法:胸水細胞診16例(小細胞癌7例,リンパ腫9例)に対し,検査後の標本を再評価・撮影し,Papanicolaou染色(Pap染色)標本のカバーガラスを剥離,リンタングステン酸で導電染色後,LVSEM観察を行い,腫瘍細胞の形態について解析した。成績:Pap染色標本に対する再評価では,16例中5例(小細胞癌3例,リンパ腫2例)で形態のみでは鑑別困難と考えられた。LVSEM観察では,小細胞癌でドーム状(85.7%),密度の高い微絨毛(85.7%),細胞間の結合性有り(85.7%),細胞表面の陥凹(42.9%)がみられた。リンパ腫では,球状(100%),短い微絨毛(88.9%),細胞間の結合性無し(88.9%)であった。LVSEMのみでは,16例中14例(小細胞癌6例,リンパ腫8例)で鑑別可能と考えられた。結論:Pap染色標本のLVSEM観察は,小細胞癌とリンパ腫の鑑別に有用であることが示唆された。

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