2025 年 74 巻 2 号 p. 251-260
日本腎臓病学会は3項目eGFRとアルブミンとUNを含む5項目eGFRを作成したが「2009 CKD診療ガイド」では3項目eGFRが提唱され広く普及している。血清クレアチニンは,筋肉量や運動量,長期臥床や低体重などの影響を受け3項目eGFRは腎機能の過大評価が指摘されている。一方,加齢による腎機能低下を織り込み正確性が高いとされた5項目eGFRは臨床現場では,ほとんど使用されていない。今回,3項目および5項目eGFRについて個別体表面積補正も含め24時間クレアチニンクリアランス(24CCr)および24CCrのGFR換算(24CCrGFR換算)との相関性および乖離比から有用性を検証した。その結果,3項目eGFRは比較対照に対し高めに乖離する症例が散見され,特に24CCrGFR換算との乖離比2.01以上の割合が15.4%と腎機能の過大評価が示唆された。一方,5項目eGFRは,24CCrGFR換算に対して高い相関性を示し個別補正では乖離比0.7~1.3以内に66.5%が収束し2.01以上の割合は6.3%と乖離する症例が少なく高い正確性が確認できた。3項目eGFRにおいて乖離比が高い症例は,Alb/UN比0.2以下に多い傾向が認められた。血清Creの尿細管分泌の割合は,血清Alb濃度による影響が報告されており,AlbとUNによる補正の重要性が示唆された。24CCrは,GFRよりも20~30%高く腎機能を過大評価するため薬剤投与時の腎機能評価法として24CCrGFR換算が作られた経緯がある。検証の結果,5項目eGFRは24CCrGFR換算と良好な相関性を示し乖離比も小さく3項目eGFRよりも推算糸球体濾過量として有用性が高かった。