医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
原著
SARS-CoV-2遺伝子解析装置5機種の性能評価と当院の検査体制遍歴
中河 知里齋藤 泰智小笠原 愛美髙屋 絵美梨高渕 優太朗高渕 綾香宮崎 怜菜石川 桃楓
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2025 年 74 巻 2 号 p. 268-276

詳細
抄録

SARS-CoV-2遺伝子解析装置5機種cobas® z480,Smart Gene®,ID NOWTMインスツルメント,cobas® Liat®システム,GeneXpert®システムそれぞれ性能評価を行った。各法の最低検出感度はそれぞれ1.0 copies/μL,2.27 copies/μL,5.75 copies/μL,0.125 copies/μL,2.0 copies/μLであった。SARS-CoV-2に感染もしくは感染疑いと診断された患者313名を対象として鼻咽頭拭い液を採取し感度,特異度,一致率を比較した。SG法とz480法の比較では感度93.2%,特異度96.6%,一致率94.7%,SG法とID NOW法の比較では感度91.7%,特異度98.4%,一致率95.1%,z480法とLiat法の比較では感度100.0%,特異度82.4%,一致率89.3%,GX法とLiat法の比較では感度100.0%,特異度93.8%,一致率96.7%と高い相関を示した。判定不一致症例については,17症例のうち14症例が発症後9日~59日経過し平均Ct値37.7と高い傾向があり上気道中のウイルス量が減少していることや機器の検出感度の差異,サンプリング時のウイルスの偏在等が結果の乖離に影響を及ぼしたと考えられた。また,アフターコロナを含めた検査の運用については機器の特性を理解し臨床と協議した上で構築する必要がある。

著者関連情報
© 2025 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top