2025 年 74 巻 4 号 p. 717-723
国内の酵母様真菌薬剤感受性検査はClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の旧ドキュメントM27-A3,M27-S3(A3/S3)に準拠した測定キットが多く用いられるが,最新ドキュメントはM27 Fourth Edition,M27M44S-Ed3(Ed4/M44S-Ed3)である。両者の主な相違点は判定時間と判定基準で,採用するEditionにより測定結果が乖離する可能性がある。今回,酵母真菌薬剤感受性キットASTY(極東製薬工業)を用い,標準菌株2株とCandida属の臨床分離株92株を添付文書通りA3/S3に準じ測定した場合と最新Ed4/M44S-Ed3に準じ測定した場合で比較し,精度管理評価とMIC値一致率,感性率を評価した。標準菌株のMIC値は両基準精度管理範囲内であった。全体のMIC値一致率は2管差以内が92.6%であった。感性率不一致は33株あり,M44S-Ed3基準でカテゴリーを比較した結果,VME 4株(Candida glabrata,Candida kruseiのCPFG各2株),mE 29株を認めた。本検討より新旧ドキュメントに準拠し測定した場合の傾向と影響が明らかになった。最新基準では判定時間24時間への統一による利点もある。今後,薬剤耐性株を含む十分な株数で最新基準によるMIC値を用いた臨床的評価を検証する必要がある。