2026 年 75 巻 2 号 p. 356-366
コンピテンシーは,業務効率向上や成長に寄与する能力目標として注目されている。新人臨床検査技師(以下,新人技師)は,新人教育プログラムを通じて段階的に検査業務に従事するが,その教育効果を示す客観的な評価指標は明確ではない。本研究は,新人教育プログラム修了後の新人技師が,どのように能力を獲得したかをコンピテンシーの視点から評価することを目的とした。岐阜大学医学部附属病院検査部および輸血部に所属し,新人教育プログラムを受講した臨床経験2年未満の臨床検査技師5名に半構造化インタビューを実施し,前川らが提示したコンピテンシーを枠組みとして演繹的アプローチによる主題分析を行った。インタビューから19の主題が抽出された。新人技師は,体系的な検査の相互理解,経験を通じた機器操作に対する考え方の変化,同僚との関係構築,学会参加による自己啓発,正確な検査結果を出すための行動と責任,現場経験を通じた倫理的配慮の理解を認識していることが明らかになった。新人教育プログラムは,新人技師の技術習得だけでなく,責任感,倫理観と対人能力を育み,卒前教育から臨床現場への移行を円滑にする可能性が示された。経験学習を促すためにはメンター制度,医療安全教育,精度管理への参加が重要であり,今後は教育内容の充実と多施設での検証が求められる。新人教育プログラムと実務経験は,新人技師のコンピテンシー獲得に重要な経験と認識されている。