医学検査
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症例報告
尿路変向術後患者の腹水クレアチニン測定が有用であった尿性腹膜炎の1例
大垣 健太小笠原 淳曽山 武士福田 直也
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2026 年 75 巻 3 号 p. 658-663

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抄録

本来,腹水のクレアチニンは血清の値と近似している。しかし,腹腔内に尿が漏出することで生じる尿性腹膜炎では腹水の尿素窒素やクレアチニンが血清の値と比較して著明に高値となることが知られている。患者は大動脈弁閉鎖不全症のため大動脈弁置換術(aortic valve replacement; AVR)を施行され入院中の60代男性。5カ月前に膀胱全摘出回腸導管造設術の既往がある。AVR後数日より腹痛を訴え,経過観察中であったが,採血上の炎症所見高値,腹痛が持続したことから造影CT検査を施行したところ,汎発性腹膜炎が疑われた。腹水の確実なドレナージと腹膜炎の原因究明を目的として試験開腹術を施行し,回腸導管付近から採取した腹水のクレアチニンが28.54 mg/dLと著明高値であったことから尿性腹膜炎が疑われた。しかし,回腸導管からの直接的な尿の漏出は確認できず,ドレーンを留置して閉腹となった。術後はドレーン排液のクレアチニン測定を継続し,術翌日より血清クレアチニン値と近似しており,正常範囲内であった。故に,術後の腹腔内へ新たな尿の漏出は否定され,試験開腹術後2週間で退院となった。腹水のクレアチニンが高値であることから間接的に腹腔内への尿の漏出を証明できた尿性腹膜炎の1例を経験した。泌尿器科手術歴がある患者において原因不明の腹水貯留を認めた際は,腹水のクレアチニンを測定することが診断確定に有用な場合があると考えられる。

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