医学検査
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症例報告
炭酸ガス依存性メチシリン耐性Staphylococcus aureusによる敗血症の一例
岩田 綾子, 天野 ともみ, 松井 奈津子, 林 直樹, 伊藤 英史, 藏前 仁, 大嶋 剛史, 松本 竹久
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2026 年 75 巻 3 号 p. 671-677

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抄録

炭酸ガス依存性メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)による敗血症症例を経験したので報告する。患者は60歳台男性,入院時に採取された血液培養が陽性となり,Gram染色でCluster状のグラム陽性球菌を認めた。平板培地へのサブカルチャーを実施したところ,好気培養条件下では微小コロニーを認め,炭酸ガス培養では明瞭なコロニーを認めた。質量分析計でS. aureusと同定され,薬剤耐性遺伝子検査によりmecAを保有していたことから,抗菌薬はタゾバクタム/ピペラシリンからバンコマイシンに変更された。薬剤感受性試験では,好気培養では菌の発育不良により測定不能であったため,炭酸ガス培養で再検査を行い,菌の発育を確認したのちMRSAと判定し参考値として報告した。さらに,炭酸ガス依存性となる発育特性に着目し遺伝子解析を行ったところ,本菌株にmpsBのナンセンス変異を認めた。本症例は,炭酸ガス依存性MRSAによる敗血症という稀な事例に対し,発育特性を考慮した培養条件の工夫に加え,質量分析や遺伝子検査を併用したことで迅速な診断と適切な治療選択に寄与できた。微生物検査技師は,SCVsの特性を理解し,日頃よりコロニーの観察眼を鍛え,通常株と異なる発育状況に気付くことや,それらの状況を踏まえた適切な検査方法の選択が重要と考える。

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