日本看護管理学会誌
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DPC導入前後における看護組織のマネジメント
-看護職員のスタッフィングを焦点として-
田口 実里
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2009 年 13 巻 1 号 p. 24-32

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抄録

本研究の目的は,DPC 導入前後の時期に焦点をおいて,看護部が看護職員配置とその運用についてどのように捉え,手段や戦略を取っていたかを明らかにすることである.対象者は,関東圏内の特定機能病院2施設に在職する看護部長,副看護部長,看護師長計7名で,施設及び看護部の概要,担当病棟の看護職員配置の変化について,半構成的面接調査を実施した.その結果,以下のことが明らかとなった.①看護部が最初に取り組んだ看護職員の増員要請は,戦略の転換によって看護部と病院上層部との構造変容が起こり,増員が可能となった.②スタッフィングの運用開始は看護部長のトップダウンだが,その稼働には看護師長の高いマネジメント能力が必要であった.③スタッフィングを展開することに伴って新たな問題が発生し,看護職員の人的資源問題はスパイラルを形成して発生し続けていたという現象が見られた.この結果から,医療環境の変化によって,看護組織に起こった問題の一つが明らかとなり,その解決策として実施したスタッフィングの運用による効果と,新たに発生した問題や取り組むべき課題が明らかになった.スタッフィングは,現有人員の有効活用手段であり,これは患者へ質の高いケアを提供するという看護部の思いが根底にあり考案されていた.スタッフィングは,質の高いケアを提供する方法について,看護職員配置の点から働きかけるための一つの手法となると考える.

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© 2009 一般社団法人 日本看護管理学会
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