抄録
本研究では、生活保護世帯(母子世帯)で育った若者4名の語りから、学校が前提とする家族像と実際の家庭環境との乖離により、学齢期の子どもたちが授業や宿題、持ち物に困難を抱えながらも適応しようとしていたことを明らかにした。対象者らは日常的に家事・育児を担ったり、登校困難な時期を経験したりしていたが、当時はそのストレスを言語化できずにいた。過去を振り返る中で、家庭への葛藤や負担を語りながらも、親を否定はせず、成人後も母親を気遣い、母親の近くへ戻ろうとする語りがみられた。学校で強調される家族への貢献の価値観が内面化されていることが示唆される。すべての子どもが自らの権利と多様な家族像を学び、その上で誰もが無理なく取り組める授業や宿題が展開されることが望まれる。