2020 年 24 巻 1 号 p. 141-153
目的:新卒看護師・2年目看護師の病棟における報告・相談行動と「先輩看護師・同期看護師からの関わり」,「居場所感」,「自己効力感」がどのように関連しているのかを検討する.
方法:急性期医療を担う4施設の病棟に勤める新卒看護師250名,2年目看護師257名を対象とした無記名自記式質問紙調査を実施した.調査時期は,2016年6月から8月である.調査項目は,研究者が設定した4つの状況における報告・相談行動(状況1:排液の変化,状況2:処置方法の不安,状況3:患者の雰囲気の変化,状況4:患者ケアの提案),先輩看護師・同期看護師からの関わり(ソーシャルサポート尺度・否定的な関わり),居場所感尺度,人格特性的自己効力感尺度,個人属性である.分析は,4つの状況における報告・相談行動に関連する要因について共分散構造分析を行なった.
結果:回収数は181部,回収率は35.7%であった.有効回答数は,新卒看護師94部,2年目看護師86部であった.共分散構造分析を行なった結果,新卒看護師はすべての状況で,2年目看護師は状況1,状況2,状況3で有意なモデルは得られなかった.2年目看護師の状況4における分析では,先輩・同期看護師からの情緒的サポートと自己効力感が,居場所感を介して,報告・相談行動に影響を与えていた(GFI=.958,AGFI=.902,RMSER=.000).
結論:2年目看護師の報告・相談行動には,先輩・同期看護師からの情緒的サポートと自己効力感が,居場所感を介して影響していた.