2023 年 27 巻 1 号 p. 179-187
目的:中期キャリアにある看護師が,後輩看護師の育成者としてどのように変容していくのか,そのプロセスを明らかにすること.
方法:就業経験年数8年から19年の看護師16名にプライバシーが保てる個室を使用して半構成的面接を1人につき1回行った.研究デザインは修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを採用した.研究代表者が調査当時に所属した組織の倫理委員会の承認を受けて面接調査を実施した.
結果:16個の概念を抽出し,これらの概念から6つのカテゴリーを生成した.後輩看護師を育成するプロセスの初期から終期に至るまで,看護師は【自分自身がとるべき行動を模索(する)】していた.看護師は後輩看護師を育成し始めた頃は【自分自身も勉強をしながら指導(をする)】しており,時には【自分の感情を出してしまう】こともあったが,【後輩看護師の心情を慮(る)】り,【後輩看護師の主体性を支持する】ように変容し,最終的には【寛容さを発揮する】ように変容していた.
結論:看護師が後輩看護師の育成者として変容するプロセスは,未熟な段階から成熟段階まで【自分自身がとるべき行動を模索する】ことが通底しており,成熟段階ではより寛容さを示した.後輩看護師の育成者として変容するプロセスには,持続する省察,上司や同僚からの影響が関与していたと示唆された.