本研究の目的は、実践現場の課題解決に取り組むアクションリサーチにおいて、研究者が判断した望まれる保健師の変化に向けた「保健師への研究者の働きかけ」と「生じた変化」を分析することである。対象は6地区の保健所保健師であり、用いたデータは保健師の活動記録、振り返り面接の逐語録、参加観察時のメモである。
分析の結果、研究者の働きかけは、保健師が専門職としての使命を果たす最善の実践を定着・波及するために「専門職として自律」「実践方法を改善」「知と技を創出・獲得」することをめざして行われていた。研究者の「寄り添い強化する」「手引きし強化する」「仕掛けて強化する」働きかけは、保健師の「よい実践の前提に対する認識の向上」「よりよい実践への転換と進化」「専門職としての自信と発展」や、保健師による「関係者間協同の活動推進」「新たな活動とその手段の開発」「成果の他への波及」という変化を生んでいた。今後この結果をもとに効果的な教育方法論を確立していく必要がある。