2020 年 29 巻 3 号 p. 29-41
〔目的〕基礎看護学実習を経験した学生が、受け持ち患者と良好な人間関係が築けたと感じた場面とその場面に至るまでの学生の気持ちを明らかにすることを目的とした。
〔方法〕A大学看護学部で基礎看護学実習Ⅱを終了し、参加同意が得られた2年生93名。自記式・無記名の質問紙調査を行い、分析には内容分析を用いた。
〔結果〕良好な人間関係が築けたと感じた場面は、【感謝やなごり惜しい気持ちを表出する】、【個人的な思いや感情を表出する】、【学生の存在を認め待つ】、【学生に笑顔を表出し応える】など6カテゴリー。学生の気持ちは【人として尊重する姿勢・態度をもつ】、【ニーズをとらえたケアを提供する】、【役立つ存在になりたい】などの5カテゴリーであった。
〔考察〕学生が人を尊重する姿勢、ニーズをとらえたケアを提供するなど看護者としての役割欲求と、患者から受容・承認された過程であり、患者の役に立ちたい気持ちと自己成長へと繋がる内容と考えられた。