日本看護科学会誌
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研究報告
がん患者の入院治療経験によるこころの苦痛と看護介入に関する仮説
片山 美子小笠原 昭彦
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2008 年 28 巻 3 号 p. 3_52-3_58

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抄録
目的:がんとともに生きるがん患者の生活経験を捉え,こころの苦痛に関する仮説を得る.
方法:調査期間を2004年3月16日から9月3日とし,一般病院で入院治療を受けている肺がん患者を対象に,半構造化面接を実施し質的分析を行った.
結果:治療効果の判定内容が異なる男性10名の記述データが得られ,病者意識,こころの揺らぎ,魂の訴え,自己効力感の自覚など,こころの苦痛に関する26概念が抽出された.
考察:心理学的ストレスモデルを用いて26概念を整理したところ,看護専門家として介入を要するこころの苦痛とは,「認知的評価に影響する事象」,「情緒的反応に影響する事象」,「コーピング方略」,「認知・行動的反応」からなる総合的なプロセスであると考えられた.
結論:がん看護に従事する看護師には,こころの苦痛をプロセス全体として捉え,実践的なケアに結びつけることが求められている.
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© 2008 公益社団法人 日本看護科学学会
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