日本看護科学会誌
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研究報告
精神科急性期病棟入院患者のSOC(sense of coherence)と嗜癖
松下 年子佐藤 亜希
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2010 年 30 巻 1 号 p. 1_72-1_79

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抄録
急性期病棟に入院中の精神疾患患者におけるSOC(sense of coherence),喫煙・飲酒習慣,ニコチン・アルコール依存度,さらにこれら変数間等の関連を明らかにすることを目的に,SOC,FTND,CAGEといった尺度を含む質問紙調査を実施した.その結果,統合失調症が7割強を占めた入院患者の平均得点は52.8±11.7点であった.喫煙率は47.0%で,ニコチン依存症(FTND 6点以上)とアルコール依存症が疑われた者(CAGE 2点以上)は21.5%と7.0%であった.変数間の関連では,喫煙者のCAGE得点が非喫煙者のそれよりも有意に高く(p<.01),SOCとFTND得点(p<.01),SOC得点と発症年齢(p<.05)間に負と正の有意な相関が認められた.精神疾患患者のSOCが個人の嗜癖性と,精神症状や精神病理と部分的に関係している可能性を示唆しており,今後の更なる検証が望まれる.
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© 2010 公益社団法人 日本看護科学学会
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