抄録
目的:職務における機会と権力が業績に影響を及ぼすというKanterの職務エンパワメント理論に基づき作成された看護職の職務エンパワメント尺度の日本語版を作成し,有用性を検討することを目的とした.
方法:作者の許諾を得た上で調査票の翻訳・逆翻訳を行い,5病院の看護職を対象として質問紙調査を実施した.
結果:1,145名(回答率76%)から回答を得た.下位尺度の信頼性係数(α)は,機会(0.81),支援(0.90),資源(0.75),情報(0.86)であった.経験3年以内の者は,「支援」の得点が高く,経験年数が長い方が「情報」の得点が高くなっていた.カナダの看護師に比べ,「機会」と「資源」の得点が低く,「支援」の得点が高い傾向がみられた.
結論:日本語版看護職の職務エンパワメントを作成した.一定の信頼性があり,海外の看護職との比較などに用いることができると考える.