抄録
目的:地域で生活する精神障害者の生きがいの具体的内容と特徴,生きがいに影響を与える体験を明らかにすることを目的とした.
方法:対象は,3年以上地域生活を続け研究に同意が得られた精神障害者17名であり,半構成的面接を実施し,得られたデータを質的に分析した.
結果:生きがいの内容を示す5つのカテゴリ【他者の存在と関わり】【現在の生活への肯定的な感情】【趣味】【信仰】【仕事】と,生きがいに影響を与える要因を示す6つのカテゴリ【自覚する症状と病気】【他者による肯定的な理解と助言】【現在の生活】【あえて距離をとる対人関係】【家族との関係】【生きがいの気づきにくさ】が抽出された.
結論:地域で生活する精神障害者は,自分を理解し支えてくれる他者の存在や,現在の生活への肯定的な感情,現在の趣味を生きがいとしている者が多くみられ,生きがいは普段の生活の中に多様に存在していた.また,生きがいの気づきにくさをもつ者もおり,精神障害者にとって他者の関わりは重要であると考えられた.