2016 年 8 巻 4 号 p. 434-437
症例の概要:患者は72歳の女性で,下顎全部床義歯が浮き上がり安定しないことを主訴に来院した.上顎には全顎にわたるブリッジが装着されていた.下顎義歯の再製作による床形態・咬合高径の修正によっても患者の満足が得られなかったため,光造形製サージカルガイドによるフラップレス手術にてインプラントを埋入し,ボールアバットメントを用いたインプラント義歯を装着した.
考察:ボールアバットメントの維持力により義歯の浮き上がりは解消し,咀嚼能力が改善したため患者の満足が得られた.
結論:顎堤が高度に吸収した下顎全部床義歯を維持・安定させるためのインプラントの把持・維持・支持効果の有効性が顕著な症例であった.