日本看護科学会誌
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研究報告
広汎性発達障害児をもつ母親が体験している困難と心理的支援
松岡 純子玉木 敦子初田 真人西池 絵衣子
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2013 年 33 巻 2 号 p. 2_12-2_20

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抄録

目的:本研究の目的は,広汎性発達障害児をもつ母親が体験している困難と心理的支援について明らかにすることである.
方法:広汎性発達障害児の母親10名に半構成的面接を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した.
結果:母親が体験している困難は,【適切な医療・療育環境の不整備ゆえに増大する苦悩】【家事,療育,教育支援のために余裕のない日常】【手探りの子育て】【長期にわたって続く心理的揺れと子どもの将来への心配】【学校生活に関する心配とストレス】として表された.母親が得ている心理的支援,および必要としている心理的支援は,【家族・友人・地域の協力者の理解と助言による支え】【家族や友人に相談できない状況】【気兼ねなく利用できる心理的支援への希求】【ゆとりの時間による気分転換】【子どもの長所や成長を確認することによる希望】【子どもの長所や成長に焦点を当てた支援への希求】として表された.
結論:広汎性発達障害の特性と心理的支援に関する知識と技術をもつ専門家による母親への心理的支援や,母親への支援とともに子どもの長所や成長に焦点を当てた子どもへの支援の必要性が示唆された.

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© 2013 公益社団法人 日本看護科学学会
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