日本看護科学会誌
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看護学生の気管内吸引の技術習得における演示学習の効果
西山 佐知子内田 一美山田 章子浅川 和美
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2016 年 36 巻 p. 172-178

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抄録

目的:事例に対する援助を計画し他学生の前で説明・実施する授業(以下,演示)が,看護技術の学習にどのような効果をもたらしたか明らかにする.

方法:看護系大学2年次生を対象に,シミュレーターを用いた気管内吸引の技術演習の後に演示を行い,各学習後に到達目標に沿って学生が自己評価した.到達目標は,独自に設定した,認知領域,精神運動領域,情意領域で構成された27項目であった.

結果:同意が得られた50名のうち37名の回答を分析した.技術演習後と演示後の到達目標得点を比較すると,全体および3領域の得点は演示後に増加した(P < 0.01).

結論:演示は,個人学習,グループワーク,説明・実施および学生相互の質疑応答を通して,既存の知識を引き出し,実施と関連付け,知識・技術・態度の統合を推進する効果があると推察された.また,事例の設定や患者役を設けたことから,患者への配慮や個別性・患者主体の看護の必要性の学びに繋がったと考えられた.

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© 2016 公益社団法人日本看護科学学会
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