日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
Print ISSN : 0287-5330
ISSN-L : 0287-5330
原著
乳幼児をもつがんサバイバーである母親ががん診断後に抱える困難
中山 貴美子鳩野 洋子合田 加代子草野 恵美子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2020 年 40 巻 p. 279-289

詳細
抄録

目的:本研究では,乳幼児をもつがんサバイバーである母親ががん診断後に抱える困難を明らかにすることを目的とした.

方法:出産後にがんの診断を受け,乳幼児期の子どもを育てることを経験した母親5名を対象に半構成的面接を実施した.データは,質的に分析した.

結果:【子どもを残して死ぬ恐怖があり,生きる希望が持てない】【不確かで長い治療がつらい】【治療と子育ての両立にせっぱつまる】【無理をせざるをえず,その人にとってのあたりまえの生活ができない】【がんを受容しきれずにもどかしい】【がんにより子どもと家族を巻き込むことがつらい】【頼れる資源や情報が不足している】【経験者に出会えずにつらさを共有できない】【治療と生活が重なる経済的負担がある】という9つのカテゴリーが抽出された.

結論:母親は,子どもと共に生きる希望がもてず,治療と子育ての両立にせっぱつまる等の困難を抱えていた.母親には,治療と子育ての両立支援や母親同士の支え合いが重要と示唆された.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人日本看護科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top