目的:指導を守らない成人患者に対する怒りを経験した看護職について,思考の未統合感としてその怒りの影響が1週間以上続く状態が,怒りを経験した後に職場で受けた支援と関連するかを明らかにした.
方法:2018年7~10月に全国40施設の看護職2,475人に無記名自記式質問紙法で患者に対する怒りの経験の有無や時期,思考の未統合感,職場で受けた支援を尋ね,思考の未統合感スコアを従属変数とした重回帰分析を実施した.
結果:半数の看護職が指導を守らない患者に対する怒りを経験し,1年以上前の出来事の思考の未統合感を有する看護職もいることがわかった.上司の共感的態度での傾聴や同僚からの助言は思考の未統合感スコアと負の関連が,上司との振り返りは正の関連があった.
結論:指導を守らない患者に対する怒りを経験した看護職の中には思考の未統合感が長期に続く者も存在するが,職場で受けた支援により思考の未統合感を低減できる可能性が示された.