目的:認知症高齢がん患者の疼痛マネジメントにおける看護実践自己評価尺度を作成し,信頼性と妥当性を検討した.
方法:質的研究と文献検討,エキスパートパネルを基に,中等度から重度の認知症がある高齢がん患者の疼痛マネジメントにおける看護実践を測定するための尺度原案を作成した.認知症高齢がん患者へのケア経験がある臨床看護経験3年以上の病棟看護師889人を対象にした質問紙調査を行った.
結果:項目分析から,32項目の尺度とした.探索的因子分析により「認知症高齢者に関心を寄せ,本人の持つ力やペースを尊重し安楽を目指す」「痛みの可能性を踏まえ,認知症高齢者が示す複数のサインを照合し,推論しながら観察を続ける」などの6因子が抽出された.尺度全体のCronbach’s α信頼性係数は.95,再テストの級内相関係数は.58,併存妥当性を示す相関係数は.64であった.
結論:認知症高齢がん患者の疼痛マネジメントにおける看護実践自己評価尺度は,信頼性と妥当性を概ね確保していることを確認した.