2022 年 42 巻 p. 281-290
目的:患者が納得してがん治療を受けることは,治療完遂に向けて重要な視点である.本研究ではがん治療に対する納得の尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討した.
方法:がん治療を受けているがん患者294名を対象に質問紙調査を実施し,内容的,本質的,構造的,一般化可能性,外的側面からの証拠を検討した.
結果:235名から回答が得られ(回収率79.9%),有効回答の210名を分析対象とした.開発した尺度の信頼性と妥当性の検証において,項目分析を行い最終的に28項目で因子分析を行った.その結果,【治療する価値】【治療への前向きな気持ち】の2因子18項目が抽出された.モデルの適合度はGFI = .901,AGFI = .853,CFI = .919,RMSE = .049であり,Decisional Conflict Scaleとの相関はr = –.589~–.667であり,各因子のクロンバックα係数は.915~.945であった.
結論:がん治療に対する納得の尺度18項目2因子構造を開発し,信頼性と妥当性が確保できた.