日本看護科学会誌
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原著
急性期病院において認知症ケアを推進する看護師の活動上の障壁と克服過程
杉岡 敦子小松 光代杉原 百合子小林 裕美
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2022 年 42 巻 p. 688-697

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抄録

目的:急性期病院にて認知症ケアを推進する看護師(以下,推進者)の活動上の障壁と克服過程を明らかにする.

方法:推進者11名を対象に3~4名毎のフォーカスグループインタビューを行い,質的統合法(KJ法)にて分析した.

結果:推進者は,急性期病院にて【葛藤しつつ身体拘束に頼る土壌】と【温度差による行き詰まり】の2つの障壁を認識しており,これらに通底していたものは病院組織の認知症ケアを後回しにしてしまう価値観であった.しかし【推進者の思いを基盤とした活動】と【チームを基盤とした活動】の両面からの活動の結果,【組織的な成果の実証】に至っていた.その支えに【活動継続のための原動力】があった.

結論:推進者は障壁に対し,自身の信念の体現と全体へ波及するチーム作りという活動を継続し,原動力をもって長期的計画の段階的実施により成果を実証していた.この過程には組織による推進者への支援が不可欠である.

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