2022 年 42 巻 p. 745-752
目的:COPD患者の終末期における訪問看護師の支援の構造を明らかにする.
方法:関東圏内の訪問看護師を対象として半構造化面接を行い,グラウンデッド・セオリー・アプローチ(Strauss & Corbin, 1990/1999)を用いて分析した.
結果:COPD患者の終末期における訪問看護師の支援は,《呼吸が苦しくても生きるために必要な意志を支え抜く》という現象を中核カテゴリーとして,この現象に関連する《呼吸の苦しさと全身症状を照らし合わせて予後を見通す》《身体の衰えに限界を感じる自らを許していく過程を見守る》《自己の存在意義と生きる意味の消滅から生じる苦痛を取り除く》《最期の時まで希望する療養の立て直しを助ける》《呼吸の苦しさと不安を取り除いて静かな命の終焉を目指す》という5つの主要カテゴリーと,13のカテゴリーで構成された.
結論:COPD患者の終末期における訪問看護師の支援は,死を想定しながらも自立した状態での生活維持を懇望する患者の意志を貫く生き方を実現するプロセスであった.