2022 年 42 巻 p. 829-837
看護系学会が学術集会で演題を募集する際,共同演者を会員のみとすることが多い.本研究の目的は,この会員要件を緩和することによる演題数,入会者数,収入への影響を定量化することである.実際に要件を緩和した一学術集会の筆頭演者を対象にWeb調査を行い,もし要件緩和が無かった場合の演題応募状況と,各演者の入会状況を尋ねた.64の有効回答があり(有効回答率86%),うち19演題(30%)の演者は要件緩和が無ければ応募していなかった.共同演者164名中20名は,要件緩和が無ければ入会していた.要件緩和により,入会者数は11名減少し,学術集会参加者数は40名増加し,学会の単年度収入は358,900円増加した.共同演者を非会員可とすることは,学術集会を盛会にすることと会計的な意味とで有用と考えられた.本論文は一学会の貴重な経験の記録であるとともに,根拠に基づく学会運営に向けた一方法を提案する.