2023 年 43 巻 p. 285-294
目的:熟練看護師が回復期の脊髄損傷患者の変化する思いへ,支援するプロセスを明らかにすること.
方法:「脊損患者の変化した思いに対して支援を行った経験」について熟練看護師14名に半構成的面接法を実施し,M-GTAを用いて分析した.
結果:熟練看護師は,リハ病棟転入後の不安や恐怖に対して【安心して療養生活を送られる支援】をし,〈埋蔵資源の意識化と増幅の支援〉[他者に向ける怒りと自分の内に向ける落胆の緩和]や多職種と連携し[新たな排泄テクニック獲得意欲の支援]を組み合わせて実践する中で,〈揺れ動く意欲の安定化〉を図りながら【その人らしさの再認識支援】を行い,家族に迷惑をかけるために自分が存在して良いのかと揺らぐ思いに対して【存在意味の否定的認知からの解放支援】をしていた.
結論:変化する思いを支えるには,支援を組み合わせて,微調整しながら多職種と連携し,患者との対話を含め支援し続けていく必要がある.