日本看護科学会誌
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原著
末期がんサバイバーの「生ききる」の実現に向けた訪問看護師の意思決定支援プロセス
中本 妙黒田 寿美恵榊 美穂子
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2023 年 43 巻 p. 335-343

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抄録

目的:末期がんサバイバーの「生ききる」の実現に向けた訪問看護師の意思決定支援プロセスを明らかにする.

方法:訪問看護経験3年以上,在宅でのがん終末期ケアかつ看取り経験を有する看護師17名に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法で分析した.

結果:意思決定支援プロセスは,「暮らしの日常・非日常の実現」「がん治療への未練に付き合う」「人生の締めくくりに向けた伴走」により構成される「共にいのち・人生に向き合う」支援が核となっていた.これは「現実的決断への仲立ち」「症状緩和に徹する」支援により促進され,「看護師主導の体制整備」が基盤にあることで成立していた.

結論:本意思決定支援プロセスは,残りの人生を主体的にデザインすることやGood deathを実現し,末期がんサバイバーがわずかであっても希望を持ち続け,「生ききる」ことを可能にする.

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