2023 年 43 巻 p. 689-697
目的:統合失調症患者が幻聴を体験している時に,家族からどのような反応を得るか,その反応によって患者が幻聴に対してどのように自己分析し対処しているのかを明らかにすること.
方法:家族と同居している幻聴の経験がある統合失調症患者10名に半構成的インタビューを実施し,修正版グラウンデッドセオリーアプローチを用い分析した.
結果:〈家族に理解されない悲嘆への自己防衛〉にもがきながらも,自分にとって一番身近な家族に助けを求め〈幻聴への対応を家族と協働〉する.その過程で家族の愛情に支えられながら〈幻聴との共存〉から《幻聴から逃げない自分》を獲得していた.
結論:家族の影響を受けながら《幻聴から逃げない自分》を獲得するプロセスは,家族にぬくもりの希求をし,家族から心配される実感を得,家族の愛情に支えられながら,幻聴が聞こえる現実から逃避せず,心を改革し自分らしい生活への可能性を見出していくための挑戦である.