2023 年 43 巻 p. 842-851
目的:「看護師の自己犠牲」の概念の構造を明らかにし,看護実践上での概念の活用性を検討する.
方法:Rodgers & Knafl(2000)の概念分析方法にて,5つのデータベースを用いた33文献を対象とした.
結果:【患者のために自分を差し置く行動】,【看護師としての肯定的な価値づけに基づく行動】,【身を粉にしてでも働くという選択】という3つの属性,4つの先行要件,3つの帰結が示された.
結論:「看護師の自己犠牲」は,「看護師としての肯定的な価値づけに基づいて,身を粉にしてでも患者のために自身を差し置いてとる行動」と定義された.本概念は,職務上での闇雲な自己犠牲は愛他心とは異なるものと捉え直す機会の提供や心身の健康を脅かす恐れのある組織風土の変革へ有用性が示唆された.